安否確認システムを基礎からおさらい(番外編)
もしもの災害に備えて、BCPの対策の一環として安否確認システム(安否確認サービス)を導入されている企業・団体でのお悩みの一つに『安否確認システムを普段どう活用するか?』があります。
意外にも『安否確認システムは災害時以外に使い道が無い』と思われているケースもちらほら。
実はこれ誤解と言いますか、まだ安否確認システムを使い慣れていない場面で起こりがちな事です。
今回は番外編として、普段から安否確認システムをどう活用かをご案内します。
[1] 防災訓練やBCP訓練で利用する(ある意味『正統派』の使い方です)
地震や気象警報による自動送信等は使えませんので、BCPの担当者による手動もしくはタイマー設定により訓練用のメッセージを一斉送信し、受信した人は本番と同様に安否状況を回答します。(設定によっては被害状況等の報告も実施)
実施の頻度としては、こまめに実施する場合は2ヶ月に1回程度、最低でも年1回は実施というパターンをよく耳にします。(年2回以上をお勧めします)
※ISOや公的な外部認証を取得している場合は、最低でも年1回以上の訓練等を実施しているかと思います。
この利用法では、安否確認の実行や回答の練習だけでなく、
- 事務局側(本社やBCP担当部署)の操作手順の確認や報告の練習になる。
- 連絡先が変更となっている従業員を発見できる。
といった効果もありますので、人事異動や入退社の頻度が多い企業・団体を中心に副次的な効果が期待できます。
訓練の場合は、単純に安否を回答してください、とするだけでなく、一部の人に限って『(被害)状況付与シート』等を渡し、回答の中に『負傷しました』や『自宅が被災し避難所にいます』等を設定すると、よりレベルアップが期待できます。(これは回答者の訓練というよりも、安否回答をもとに報告を上げる事務局側のトレーニングになります)
また、一斉同報後の経過時間毎の返信状況の確認も重要なトレーニング指標となります。
[2] 一斉連絡ツールとして利用する
災害以外での使い道になります。一斉に情報を送る、そして回答を行うという仕組みを活用します。ある意味で、便利なITツールとしての利用方法です。
手順としては[1]とあまり変わりません。ポイントは大まかに3つあります。
- 送信のタイミングと理由(防災やBCPにこだわる必要は一切ありません)
- 文面(できるだけ企業や団体で共有したい情報を載せる)
- 必ず回答を行う(システムに回答機能があれば利用する)
これらを踏まえますと、例として以下のようなものがあります。
-
新しい社内報が出ました
公開日や掲示場所、公開ページ等を案内
メッセージを受け取りましたの回答 -
来月の〇〇の日は・・・です
行事や点検作業等の日付や場所等を案内
メッセージを読みましたの回答 -
作業中の熱中症にご注意ください
作業中の注意点(熱中症)や予防法を案内
メッセージを読みましたの回答 -
本年度の内部監査の実施時期は・・・の予定です
内部監査の実施対象部署と日付を案内
メッセージを読みましたの回答 -
ワクチン接種の実施状況についての情報共有
いつ接種したかの報告 -
急な欠勤が発生したので、その穴穴埋め
代替勤務が可能か否かを報告
安否確認システムの機能によっては、メッセージ本文に全ての情報を書き込む必要はなく、掲示板やリンク先等に詳細な情報が公開できるものもあります。
機能をうまく活用して、情報の伝え方を工夫していただくと、実際の安否確認やその後の業務復旧や業務再開のための連絡(情報共有)にもプラスになります。
安否確認システムを利用中の企業や団体だけでなく、導入を検討されている組織でも、普段からの活用法やメリットについて意識していただけましたら幸いです。