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介護業界におけるBCP義務項目への対応ポイント

令和3年度介護報酬改定により、BCP(事業継続計画・業務継続計画)の策定や運用が義務化されました(令和6年3月までの義務化前の経過期間が終了しました)。
前回は「介護業界特有の課題」「BCP義務項目」について記載しました。
今回は、「義務づけられている項目についての対応等のポイント」をまとめてみました。

BCP義務項目への対応ポイント

感染症対策等の強化

  • 感染症対策、自然災害対策の両方が義務づけられている(義務ですが、一般的なBCPより範囲が狭まっています)
    感染症対策については、昨今の新型コロナウィルスが拡大した時期に実施していた対策を再度実施できるよう、準備を継続することが基本となります。
    ※季節性インフルエンザやその他の感染症への対策は、普段から何らかの備えを行っているかと思います。部分的な発生ではなく社会や地域レベルでの発生に備えて、規模や体制の拡充をお勧めします。

業務継続に向けた取り組みの強化

  • 計画(ルールや手順)の整備が義務づけられている(BCPでの規程や計画書、マニュアル等)
    単純に書類(規程やマニュアル、記録書類)を作って終わりではありません。
    平常時の備えとして、書類の整備のほか、責任者や対応担当者の割り当て、連絡体制の整備(安否確認)、防災用品等の備蓄等が必要となります。
    災害や感染症の発生時は、ルールに基づいた対応として、スタッフの安否確認、利用者・入所者の安否確認、施設の被害状況の確認、業務の継続・復旧、被害への応急処置や修理の手配、ご家族を含めた関係各所への連絡等々が必要となります。BCPのゴールは(施設等が定める)一定のレベルまで業務が復旧することですので、実際の災害や感染症の発生時は数日~数か月の活動となる場合もあります。
  • スタッフ向けの研修や教育が義務づけられている
    災害や感染症の発生時に実動が求められるので、各事業所のBCPに基づいた研修や教育が望ましいと考えられます。
  • 訓練(シミュレーションを含む)の実施が義務づけられている
    こちらも2と同様に各事業所のBCPに基づいた訓練(実際の活動を伴うもの)やシミュレーション(一般的には机上訓練)が望ましいと考えられます。
    BCPの観点から、一般的な防火訓練や避難訓練だけでは不十分で、事業の継続や復旧に関わる訓練(施設の安全確認、安否確認、防災用品の利用、インフラの停止状態での業務実施等)が必要と考えられます。

23は、回数は明確に定められていませんが、最低でもそれぞれ年1回は実施する事が求められるレベルとご理解ください。

※診療報酬の年次改定に伴う義務化であることや、年度ごとの管理が監督官庁的に行われている点を鑑みました。

BCPでは、書類やデータを作って終わりではなく、運用が継続して行われることが求められています。運用には上記の研修や訓練が含まれる他、作成済み書類の見直し(対応ルール、担当メンバーや安否確認での連絡先、防災用品の台帳等の内容のメンテナンス)や改善をおこなう事で、より有効なBCPにステップアップできます。

介護業界では平常時からスタッフの不足が問題となっている事もあり、災害や感染症の発生時は『スタッフの安否確認』や『スタッフのシフトやローテーションの調整』が対応のカギとなったというケースもあると聞きます。BCPの対策として、災害や感染症に目を向けるだけでなく、スタッフの確保や調整も組み込んでいただくのが望ましいと思われます。

エクスリンクの「安否確認プライム」は、災害時に対象者の安否確認をスムーズかつ確実に行えるツールで、介護施設への導入実績も多数あります。ガラケーにも対応できるSMS(ショートメール)送信で簡単に安否確認ができるので、ITに不慣れな方がいても安心です。安否確認システムの導入を検討されている施設様はご検討いただけると幸いです。

介護業界におけるBCP義務化について

近年の自然災害や感染症拡大等の社会情勢から、令和3年度介護報酬改定により、BCP(事業継続計画・業務継続計画)の策定や運用が義務化されました(令和6年3月までの3年間は義務化前の経過期間とされていましたが、終了しました)。

BCP(事業継続計画・業務継続計画)は、災害の多い日本では業種業界を問わず監督官庁等から策定が求められており、介護業界では厚生労働省や全国の自治体から働きかけが行われております。しかし一般的な企業や団体向けのBCPとは異なる点もあり、苦戦しているという声も耳にします。

介護業界特有の課題

介護業界では次のような課題があり、一般的なBCPよりもハードルが高いとも言われます。

  • 避難等の移動が困難な利用者、入所者が多い
  • 自力で災害や感染症への備えをおこなえる利用者、入所者が限られる(ゼロの場合もある)
  • (主に高齢者施設では)施設内で生活する入所者へのサービスは停止できない(事業停止の回避が必須)
  • サービスの停止や低下が、利用者/入所者の健康や生命に関わることがある(施設による保護や安全確保が求められる)

BCP義務項目

厚生労働省から求められている「感染症や災害への対応力強化」(いわゆるBCP義務化)では、概略として次のような事が求められています。

  • 感染症対策の強化【対象:全サービス事業者】
    委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等が義務づけられています。
  • 業務継続に向けた取り組みの強化【対象:全サービス事業者】
    災害や感染症が発生した場合の業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等が義務づけられています。
  • 地域と連携した災害対応の強化【対象:通所系サービス、短期入所系サービス、特定、施設系サービス事業者】
    災害への対応や備えの面で、訓練において地域住民との連携に努めなければならないとされています(努力目標と解釈できます)。

BCPでは、書類やデータを作って終わりではなく、運用が継続して行われることが求められています。運用には上記の研修や訓練が含まれる他、作成済み書類の見直し(対応ルール、担当メンバーや安否確認での連絡先、防災用品の台帳等の内容のメンテナンス)や改善をおこなう事で、より有効なBCPにステップアップできます。
実際に災害や感染症が発生した場合は、実動からの学びや課題等も改善へのきっかけとなりますので、対応の記録もお忘れなく。

介護業界では平常時からスタッフの不足が問題となっている事もあり、災害や感染症の発生時は『スタッフの安否確認』や『スタッフのシフトやローテーションの調整』が対応のカギとなったというケースもあると聞きます。
BCPの対策として、災害や感染症に目を向けるだけでなく、スタッフの確保や調整も組み込んでいただくのが望ましいと思われます。

エクスリンクの「安否確認プライム」は、災害時に対象者の安否確認をスムーズかつ確実に行えるツールで、介護施設への導入実績も多数あります。ガラケーにも対応できるSMS(ショートメール)送信で簡単に安否確認ができるので、ITに不慣れな方がいても安心です。安否確認システムの導入を検討されている施設様はご検討いただけると幸いです。

厚生労働省の参考資料

BCP以外にも改定事項がございますので、関係する業界の方はぜひご覧ください。

【参考】令和3年度介護報酬改定について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00034.html

なぜ安否確認は専用ツールかつSMS(ショートメール)を使うほうがよいのか

我々は日本に住んでいる限り、台風・地震・津波などの自然災害被害を回避することはできません。
災害時には事業所や従業員の被災、ライフラインの途絶などによって、業務の継続が困難になることが想定されます。
たとえ少人数の組織であっても、災害や事故の事態に備えて事業継続計画(BCP)を策定しておくことが、従業員を守り、事業の早期復旧/継続を可能にすることに繋がります。
BCP対策で最初に取り組むべき課題である「災害時の従業員との連絡体制」について、なぜ「専用ツールかつSMS送信を使うべき」かについて解説していきます。

  • BCP対策で最初に取り組むべき課題とは
    最初に確認すべきは、従業員の安否確認です。
    従業員の所在や安全状態を確認し、アクションできる状態なのか否かが判断できなければ、速やかに日常業務を再開することはできません。
    従業員の安否をいかに迅速に把握するかが、混乱を最小限に抑え、的確な対応指示に繋がる重要なポイントといえるでしょう。
  • 災害時の安否確認はSMSが良い理由
    電話利用の場合
    従業員の安否確認の方法として、電話(音声)を用いた連絡網を設定している場合があります。しかし、災害直後は電話(音声)が繋がりにくくなり、従業員数によっては対応する管理者に非常に大きな負担がかかってしまいます。加えて管理者本人が被災する場合もあります。
    Eメールの場合
    Eメールも電話(音声)と同じで災害時にはトラフィック(通信量)が極端に増加するため、サーバー負荷が増大して処理が追いつかず、タイムラグやエラーが発生する恐れが極めて高くなります。 SMS(ショートメール)は電話の信号線を使用するため、輻輳状態になりづらく、災害に強い通信網となっており、 実際に東日本大震災の際にも、最後まで問題なく繋がった実績があります。
    SNS(LINEなど)の場合
    無料もしくは安価なSNSを利用している組織/企業もありますが、プライベートのアカウントを会社に教えたくない従業員や、アプリのインストールを嫌がる従業員も必ず一定数います。また、個人情報保護に関する契約的な内容が弱いことも問題点になります。
    さらに、電話やEメールと同様に、管理者が手作業で集計するという点が大きな問題点になります。
  • 安否確認は専用ツールを使ったほうがよい理由
    数年前からBCP対策の一環として、災害時の安否確認をスムーズかつ確実に行う専用ツールが各社からリリースされています。
    専用ツールを利用するメリットについて、エクスリンクの「安否確認プライム」を例にご紹介します。
    1. 「安否確認プライム」は、携帯電話のSMS(ショートメール)を使用して、従業員の安全状況を確認し、従業員と情報の共有を可能にするサービスです。 アドレス変更が多いEメールと比べて、携帯電話番号は変更頻度が低いため、到達率が高い点が大きなメリットです。
    2. 「安否確認プライム」でメッセージ送信する場合、従業員の携帯電話番号を登録しておき、事前に対象者や条件(震度など)を設定しておけば、 災害発生時に自動的に一斉送信することができます(SMSなのでガラケーの従業員でも利用可能です)。
    3. SMSを受信した従業員は、SMS本文に記載のURLを開き、安否などを回答します。回答結果は自動的に集計されるので、 管理画面で事業所・部署ごと、従業員ごとの安否状況を簡単に把握できます。
    4. 「安否確認プライム」ではSMSが従業員に届いたか否か、届かなかった場合の理由(電源OFF・圏外・端末エラー)も確認できます。また、 送信エラーになった従業員や未回答者に、繰り返しメッセージを自動再送信することも可能です。
      ※外国にいる場合でも、国際ローミングで受信可能です
    5. 「安否確認プライム」はWebブラウザーやインターネット接続環境があれば利用できるクラウドサービスです。
      専用アプリをインストールする必要がない ため、ガラケー利用者や、自分の端末にアプリを入れたくない従業員がいても安心です。

「安否確認プライム」はSMS送信に加え、Eメール送信の併用も可能です。
安否確認システムの導入を検討されている企業様の参考になりましたら幸いです。

能登半島地震から学ぶ安否確認サービスの問題点と解説

先ずは、この度の能登半島地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様に心からお見舞い申し上げ、皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

能登半島地震により、弊社にも多くの一般企業や医療機関から安否確認サービスに関するお問合せを頂戴致しました。なかには既に他社安否確認サービスを導入しているにも関わらず上手く対応できなかった組織もあり、それらの問題点を以下にまとめてみました。

  • 安否確認のメールが迷惑フォルダーに入っていたため確認ができなかった
    Eメールの特性上、迷惑メールの誤検知があります。自動で識別されるため、一斉送信や大量送信のメールを誤って迷惑メールと判断するケースがあります。
    この問題を回避するために頻繁に確認メールを送るサービスがありますが、回数が多い故に逆に危機感が薄れる、迷惑メールと誤検知されやすくなるといった懸念もあります。
    安否確認プライムはSMSでプッシュ送信しますので、迷惑メールフォルダーに格納される比率が極めて低いサービスです。さらにSMS送信では未到達理由(電源OFF・圏外・端末エラー等)を確実に把握することができます。
  • フリーメール(GmailやYahooメール)の場合、安否確認のメールが遅れて届いた
    フリーメールはスパム対策や輻輳回避で回線容量を絞る傾向が顕著です。そもそも論ですが、無料サービスに迅速性や確実性を要求することは無理な話で、主力の連絡手段としてはリスクが高いと考えられます。
    安否確認や重要な業務連絡にはフリーメールではなく、SMSのように安定した手段で連絡を行い、後続の連絡等はWeb経由やEメール等を適宜活用するといった使い分けを推奨します。
  • 帰省先の能登で被災したが、安否確認対象外となっていたため確認が遅れた
    安否確認プライムは登録した人(社員や生徒)と住所(居住先や勤務先)を紐づけて管理します。地震発生時に地域ごとの震度情報等と個人の住所を照合し、個人単位で安否確認の対象者である、対象者でない、といった処理を行った上で安否確認の発報を行います。
    この場合「全国エリア」が設定できないサービスでは登録された住所以外では発報されませんが、帰省や旅行、出張等への対応には「全国エリア」の設定(大規模災害時は都道府県を問わず安否確認を行うパターン)は必須機能です。
    ※大規模地震の他、豪雨災害や大雪などでも複数の地域で同時に安否確認が必要となるケースが報告されています。
    安否確認プライムは「勤務先」「全国」「居住先」等を自由に複数パターン設定できます。活用例として、経営層や役職者、BCP対応メンバーの場合は、自身の自宅や職場の他に「全国」を設定し、安否確認を災害発生後のBCP対応開始の合図とするケースもあります。
  • 余震があるたびに何度も安否確認メールが届いた
    災害時自動送信の機能を備えたシステムは迅速に安否確認をおこなうのに役立ちますが、地震が起きるたびに制限なく自動送信されてしまうシステムだと、受信した側はどれに回答すればよいかわからないなど混乱を生じます。
    安否確認プライムは指定した時間内で連続発生した場合、その時間内は初回のみの送信にするインターバル機能があります。
    また、能登半島地震のようにインターバル中に、指定した条件よりも大きい本震が発生した場合は、この設定を無視して再送信する設定も可能です。
  • 既に退職した人に確認メールが届いてしまった
    アプリ利用の安否確認サービスやビジネスツールではスマートフォンにアプリや設定等が残ることが多く、退職時のアプリ削除が行われていない場合は動作してしまう問題を抱えています。
    ※退職時に個人のスマートフォン等にアプリや設定が残ったままとなる事は、個人情報保護や情報セキュリティの観点からもリスクが高いため禁止すべきです。
    また、アプリを利用した安否確認サービスは、いわゆるガラケーから利用できず安否確認のモレを起こしてしまいます。

安否確認プライムはアプリに依存しないサービスでガラケーにも対応しています。

能登半島地震発生から約1ヶ月の期間で寄せられた事例等を元に解説させていただきました。これらの問題点は安否確認サービスの「機能面の対応・非対応」「設定や使い方」の他「通信環境の特性」によるものも含まれています。
皆様の災害対策やBCP対策の参考になりましたら幸いです。

震災後の安否確認システムの再確認

年明けの大きなニュースの一つ、元旦に「令和6年能登半島地震」が発生し、今なお地震活動が続く状況が続いています。
被災された皆様へ、心よりお見舞い申し上げます。

今回は安否確認システム(安否確認サービス)を導入済みの企業・団体組織に向けて、地震発生後にぜひチェックしていただきたい確認ポイントをご案内いたします。

地震・津波による自動送信(自動発報)に対応しているシステムの場合

  • 安否確認が自動発報で行われたか?
  • 震度・警報等の数値設定は適切だったか?
  • 余震に対して過剰な繰り返し発報をすることで混乱は発生しなかったか?
  • 実家に里帰りなどで北陸地方に滞在中のメンバーの安否は確認できたか?

実際に安否確認のメッセージが送信された場合

  • 先ず、発報されなかった場合は『実行されていない理由』を必ず確認する。
    災害のエリア設定や震度や津波設定に問題はなかったか?
  • 安否確認の送信エラーが発生していないか?
    宛先情報や設定条件に問題があればエラーとなるので、速やかな修正が必要です。
    送達確認や送信エラーの集計がされていればベストです。
    受信端末の迷惑メールフォルダ対策は十分であったか?
  • 確認メッセージに対して返信や回答がどの程度返ってきたか。(返信率の確認)
    返信率が低い場合では、日常の訓練不足や迷惑フォルダ問題はありませんか?
  • 確認された安否の情報を報告したか。
    返信情報を集計/出力し、組織内の誰に報告し、どのような活動に活かしたか?
  • 安否不明者の継続確認を実施したか?
    未回答者への再送信や絞り込みの送信機能はあったのか?

上記のような確認に対して、一般的には安否確認システムの管理者権限を持つユーザ(メッセージ送信の設定や実行権限を持つ、危機管理部門や人事・総務部門または部門や事業所の責任者等)であれば実行可能です。

安否確認を回答する側、回答を受ける側双方の課題点を把握し、併せて対応していない(実装していない)機能等も確実に把握していただければと思います。
さらに、BCP(事業継続計画)や災害等の緊急時対応として安否確認訓練を行っている場合、今後の訓練内容の改善にも役立つかと思います。

電気を手に入れる手段も多様化の時代です。(BCP対策における電源確保手段)

現代社会は電気無しでは立ち行かないと言われています。日本は発電、送電のインフラがある程度安定しているため、電気のストップ:停電の発生が少なく、自然災害の一部とも認識されています。BCP(事業継続計画)や安否確認の観点からも、電力の確保は優先度の高いものとして認識されているかと思います。

電気が無い場合

  • PC、スマートフォン、サーバーといった情報機器が使えない
  • 情報機器に加え、複合機や電話といった通信機器も使えない
  • 建物内の照明、空調が使えない
  • 水道やエレベーターが使えず、建物内での活動に支障が出る

といった問題が発生し、BCP対策も成り立ちません。

今回ご紹介する、停電への備えによってBCP関連の全てが解決するわけではありませんが、最低限の情報機器の利用や通信ができれば、組織(会社や団体、学校等)の復旧活動がよりスムーズに進むかと思います。

停電への備えと言いますと、一昔前は自家発電設備かエンジン式の発電機(可搬型の発電機)が主流でした。自家発電設備はハードルが高く、エンジン式発電機が比較的手軽と言われていました。とはいえ、発電機の利用には、本体を購入するだけでなく、燃料(ガソリン・ガス缶・ガスボンベ等)やエンジンオイルの準備が必要で、さらに

  • 燃料やオイルを含めた管理が煩雑(点検、交換、本体のメンテナンス)
  • 稼働できる場所が屋外に限定される(排気ガスの問題)

といった課題も多く、導入をためらう意見もちらほら耳にします。

近年では技術が大きく進歩し、新しい選択肢(機器や設備)が登場しています。規模の大きいもの(電力の大きいもの)からご紹介しますと、次のようなものがあります。

  • 蓄電設備
    建物等に大容量のバッテリーを設置し、停電時はバッテリーから給電します。
    ソーラー発電と組み合わせることで長期間の稼働が可能な物も登場しています。
  • 自動車からの給電
    主にハイブリッド車や電気自動車等から給電します。 移動できる簡易給電設備として、家電や情報機器を少量稼働させるレベルでは実用的となっています。
    社用車を給電可能なハイブリッド車に入れ替えるケースも増えており、BCPの分野でも注目されています。
  • ポータブル電源
    ここ数年で普及が進んだもので、持ち運び可能な蓄電池といえます。
    手提げカバンのようなサイズで、主にノートPCやスマートフォンの充電、ちょっとした家電の稼働が可能です。 常時スタンバイで停電時に動作するものなど、BCPでの活用に向いた製品もあります。
  • モバイルバッテリー
    スマートフォンのお供として個人用でも普及しています。
    大型の物であれば、ノートPCの充電やスマートフォン複数台(複数回)の充電も可能です。普段は通常業務や出張等で利用し、災害時は会社で回収しBCP用として再配分するといった利用シーンが想定されます。
  • ポータブル型の手回し発電やソーラーパネル
    手回し発電機やポータブル型のソーラーパネルも販売されていますが、現在の技術では発電量が小さくビジネス向けには実用的ではありません。

このように、電気を確保する、というだけでも複数の手段があるため「わが社では、どうしても〇〇に電気が必要」といった利用機器やシーンに合わせて選ぶことができるようになりました。より現実的な選択としましては、1つの対策(手段)に絞らず、複数の対策を組み合わせながらコストとパフォーマンスのバランスを取っていただくことをお勧めします。

安否確認システムを基礎からおさらい(番外編)

もしもの災害に備えて、BCPの対策の一環として安否確認システム(安否確認サービス)を導入されている企業・団体でのお悩みの一つに『安否確認システムを普段どう活用するか?』があります。

意外にも『安否確認システムは災害時以外に使い道が無い』と思われているケースもちらほら。

実はこれ誤解と言いますか、まだ安否確認システムを使い慣れていない場面で起こりがちな事です。

今回は番外編として、普段から安否確認システムをどう活用かをご案内します。

[1] 防災訓練やBCP訓練で利用する(ある意味『正統派』の使い方です)

地震や気象警報による自動送信等は使えませんので、BCPの担当者による手動もしくはタイマー設定により訓練用のメッセージを一斉送信し、受信した人は本番と同様に安否状況を回答します。(設定によっては被害状況等の報告も実施)

実施の頻度としては、こまめに実施する場合は2ヶ月に1回程度、最低でも年1回は実施というパターンをよく耳にします。(年2回以上をお勧めします)
※ISOや公的な外部認証を取得している場合は、最低でも年1回以上の訓練等を実施しているかと思います。

この利用法では、安否確認の実行や回答の練習だけでなく、

  • 事務局側(本社やBCP担当部署)の操作手順の確認や報告の練習になる。
  • 連絡先が変更となっている従業員を発見できる。

といった効果もありますので、人事異動や入退社の頻度が多い企業・団体を中心に副次的な効果が期待できます。

訓練の場合は、単純に安否を回答してください、とするだけでなく、一部の人に限って『(被害)状況付与シート』等を渡し、回答の中に『負傷しました』や『自宅が被災し避難所にいます』等を設定すると、よりレベルアップが期待できます。(これは回答者の訓練というよりも、安否回答をもとに報告を上げる事務局側のトレーニングになります)

また、一斉同報後の経過時間毎の返信状況の確認も重要なトレーニング指標となります。

[2] 一斉連絡ツールとして利用する

災害以外での使い道になります。一斉に情報を送る、そして回答を行うという仕組みを活用します。ある意味で、便利なITツールとしての利用方法です。
手順としては[1]とあまり変わりません。ポイントは大まかに3つあります。

  • 送信のタイミングと理由(防災やBCPにこだわる必要は一切ありません)
  • 文面(できるだけ企業や団体で共有したい情報を載せる)
  • 必ず回答を行う(システムに回答機能があれば利用する)

これらを踏まえますと、例として以下のようなものがあります。

  • 新しい社内報が出ました
    公開日や掲示場所、公開ページ等を案内
    メッセージを受け取りましたの回答
  • 来月の〇〇の日は・・・です
    行事や点検作業等の日付や場所等を案内
    メッセージを読みましたの回答
  • 作業中の熱中症にご注意ください
    作業中の注意点(熱中症)や予防法を案内
    メッセージを読みましたの回答
  • 本年度の内部監査の実施時期は・・・の予定です
    内部監査の実施対象部署と日付を案内
    メッセージを読みましたの回答
  • ワクチン接種の実施状況についての情報共有
    いつ接種したかの報告
  • 急な欠勤が発生したので、その穴穴埋め
    代替勤務が可能か否かを報告

安否確認システムの機能によっては、メッセージ本文に全ての情報を書き込む必要はなく、掲示板やリンク先等に詳細な情報が公開できるものもあります。

機能をうまく活用して、情報の伝え方を工夫していただくと、実際の安否確認やその後の業務復旧や業務再開のための連絡(情報共有)にもプラスになります。

安否確認システムを利用中の企業や団体だけでなく、導入を検討されている組織でも、普段からの活用法やメリットについて意識していただけましたら幸いです。

安否確認システムを基礎からおさらい(その3)

BCPや防災の取り組みとして、安否確認システム(安否確認サービスとも呼ばれる安否状況や被害状況の確認システム全般を指します。)を検討したい、調べてみたいという方へ、比較検討のポイントをご紹介します。

安否確認システムを選ぶ際は管理者側(情報発信者側)と安否報告側(従業員側)の両面から検討をお勧めします。

管理者側、安否報告側、双方のメリット/デメリット

  • 自動送信機能はあるか?
    地震や警報の発令時に自動で安否確認メッセージが送信される機能があれば、夜間・休日・管理者の被災等の際にも安否確認ができます。
  • ガラケーにも対応しているか?
    スマートフォン以外の携帯電話に対応できない場合は、確認のモレが発生しますので、SMS通信の利用をお勧めします。
  • アプリのダウンロードやEメール登録は必要か? 個人携帯にアプリのインストールは強制できるのか?
    事前準備のハードルとなり、運用や管理の手間が増えます。事前準備が不要なシステムをお勧めします。
  • 安否報告(回答)の自由度はあるか?
    メッセージの文面や回答の選択肢等の設定自由変更に対応しているシステムをお勧めします。

安否報告側のメリット/デメリット

  • 再通知、再連絡に対応しているか?
    避難中等に安否報告を行うことが困難なため、一定時間経過後に未回答者に対しての再メッセージが行なえるシステムをお勧めします。 管理者側の設定により、未回答者への自動再送信等ができるシステムは、災害時に管理者側の作業負担を下げるメリットもあります。
  • ID/PWを忘れた時の対応は?
    ID/PWが不要のSMS通信もあります。

管理者側のメリット

  • 集計機能やダウンロード機能はあるか?
    安否についての報告や質問項目への回答が集まった後、経営者や対策本部への報告が求められます。該当する機能が無い場合は手計算、手作業での集計となるため、対応の遅れや作業負荷アップにつながります。極力システムによる省力化をお勧めします。
  • スマートフォンやタブレットから操作ができるか?
    (社屋の被災等で出勤できない場面に)パソコン以外からも安否確認システムの操作ができると、柔軟な対応ができ業務復旧にプラスとなります。
  • 連絡経路が災害時に強いか?
    利用する連絡経路(通信手段)には大きく分けて、音声(自動メッセージ)、Eメール、SMS、の3種類がありますが、もっとも災害時の通信混雑に強い(輻輳や遅延が少ない)ものはSMSと言われています。

他にも安否確認システムごとに、外国語対応やファイル添付、部署単位での閲覧や管理等々、様々な機能があります。機能を確認する際は、必要な機能が満たされているか+使い勝手が良いか、といった視点で多角的に比較する事が重要です。 一般的なSNS(メッセージシステム等)や業務ツール(グループウェアや営業管理システム)には無い機能も多数あり、魅力を感じる点も多いかと思います。

安否確認システムを基礎からおさらい(その2)

安否確認システム(安否確認サービス等、呼び方は様々です。※1参照)のおさらいとして今回は安否確認システムのメリットをご紹介します。
※メリットの中でご紹介する機能はシステムやサービスによって、対応している・対応していない、がございますので必ず該当するサービスの操作マニュアル等でご確認ください。

昔からの手法として『緊急連絡網』を備えている場合もありますが「(災害時等は通話制限で)電話がつながりにくい。」「連絡が途中で途切れる(連絡がつかない場合もある)」「連絡を回すために時間がかかる」「連絡の内容が不明確や誤っている(口頭での伝言ゲーム)」といった課題も多く、防災訓練やBCP訓練での失敗事例となるケースも少なくありません。
課題解決の糸口として、安否確認システムを導入・活用する企業や団体、学校等でのメリットをまとめてみました。

安否を報告する側(従業員や生徒等)のメリット
・安全を重視し、各自が回答できるタイミングで安否の回答ができる。
※避難中に電話が掛かってきても、電話対応は危険な場合が多い。安全な場所に避難してから回答できる。
・スマートフォンやガラケーから回答できる。(業務PC等は不要)
・災害発生時に自動で通知+安否確認が届く。(プッシュ通知設定時)

安否を確認する側(会社や団体、学校等)のメリット
・BCP・防災・帰宅困難者の対策として有効。(非常時の連絡手段の確保)
・地震の際など、自動で安否確認が行われる。(プッシュ通知に対応したシステムの場合)
・送達、開封等が確認できる。(SMSを使用するシステムの場合)
・回答の集計やダウンロードができる。(社内報告や検討資料が得られる)
・未回答者への再連絡ができる。(設定した時間経過後に、未回答者へメッセージを発信
・安否確認以外にも、緊急連絡(災害が迫った際の避難や商品の退避等)や業務再開・臨時営業等の一斉連絡ができる。

双方のメリット
・緊急連絡網等で連絡を回す必要がなくなる。
※伝言ゲームの手間や伝わる情報の混乱、連絡が途切れる等のトラブル予防
・電話以外の緊急連絡手段が確保できる。(つながりづらい携帯電話以外の選択肢)
・とりあえず出社というリスクを回避できる。

このように、IT(メッセージの送受信サービス)を利用することで、災害時に不安定になる携帯電話での通話から開放され、スピーディかつ安定した安否確認(情報の伝達)が可能となります。
特にビジネスの分野では、安否の確認後も、安全を確保できた人・出社が可能な人・社屋や事業所にいる人に対して、連絡や指示を出すことも可能な事から、被害状況の確認や業務復旧・業務再開にもプラスになると言われています。(BCP対策での有効性)

※1【参考情報】安否確認ステムの呼び方色々
・安否確認サービス
・安否報告アプリ
・安否情報システム
・安否システム
といった色々な呼び方があります。
安否確認システムは基本的な機能として『事前に登録した社員や生徒に対して、安否を確認するメッセージを送り、回答を受け付ける。』「受け付けた回答を管理者等が確認する。」を持っています。

安否確認システムを基礎からおさらい(その1)

地震や台風などで被害が発生しますと、防災用品と並んで注目が集まるものに『安否確認システム』があります。
まずは安否確認システムについて、今流行りの「ChatGPT」さんに質問してみました。

【質問】
安否確認システムとは何ですか?

【ChatGPTからの回答】
安否確認システムは、災害や緊急事態が発生した際に、被災者や関係者の安全状況を把握するためのシステムです。主な目的は、被災者の安否情報を素早く収集し、適切な支援や救助活動を行うことです。

安否確認システムは、通信技術やインターネットを活用して実現されることが多いです。一般的な仕組みは、被災者や関係者が登録や登録更新を行い、災害発生時に安否情報を提供します。この情報はデータベースやシステム上で管理され、関係者や救援チームがアクセスできるようになります。救助活動の進捗状況や被災地の情報もシステム上で共有されることがあります。

安否確認システムは、被災者の救助・支援活動を迅速かつ効率的に行うために重要な役割を果たします。また、被災者の家族や友人なども安否情報を把握できるため、安心感を得ることができます。災害時の情報共有と連絡手段として、多くの地域や組織で導入されています。


なかなか詳しい回答が返ってきました。AIの能力も侮れません。
今回は特に条件を指定せずに質問しましたので、企業向け、団体向け、学校向けといった安否確認を利用する側の属性等には踏み込まれていません。

安否確認システムが注目される理由として、よく耳にするものとして次のようなものがあります。

①災害に備えて非常時の連絡手段を持ちたい。
②BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)の取り組みで安否確認を行ないたい。
③行政の帰宅困難者対策条例等に対応するため。

①~③について解説します。
①は、災害発生時に普段の連絡手段が使えない場合や、事業所に出勤できない場合等に安否確認や一斉連絡を行なうニーズがあります。
②は、機能面でのニーズは①に近いのですが、事業継続における安否確認には『無事です(被害なしや避難済み)、負傷や被害があります』を伝えるだけでなく、復旧・事業再開の状況確認の側面も持っています。一例として、被害状況の報告、出勤可能者の確認等があります。
③は、東日本大震災以降、東京都をはじめ各地の自治体で帰宅困難者の発生を想定した対策条例等が施行されています。
条例の中には会社、団体側の取り組みとして『一斉帰宅の抑制』『従業員との連絡手段の確保』が盛り込まれています。これにより、災害時に電話(携帯電話網)が繋がりにくい、ネット回線が繋がりにくいといった影響にも考慮した連絡手段として安否確認システムが注目されています。

【参考】帰宅困難者対策条例の概要リーフレット(東京都)
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/bousai/1000031/1000939.html

安否確認と言いますと、東日本大震災のような大規模な地震や台風、豪雨災害等が浮かびますが、大規模な交通障害や事故により移動や業務に支障が出る場合、支店や営業所等の営業に支障が出る場合にも活用が可能です。一例として、大雪の際や台風の通過後等に鉄道や航空機の運休、道路網のマヒ等が毎年発生しています。こういった際に電話で個別に連絡を取ることは効率の面でもお勧めできません。

災害の多い日本では、上記のようなニーズが都市部だけでなく全国各地が対象となっています。安否確認システムの導入や活用は防災力アップや事業継続能力のアップに欠かせないと言えます。

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