電気を手に入れる手段も多様化の時代です。(BCP対策における電源確保手段)
現代社会は電気無しでは立ち行かないと言われています。日本は発電、送電のインフラがある程度安定しているため、電気のストップ:停電の発生が少なく、自然災害の一部とも認識されています。BCP(事業継続計画)や安否確認の観点からも、電力の確保は優先度の高いものとして認識されているかと思います。
電気が無い場合
- PC、スマートフォン、サーバーといった情報機器が使えない
- 情報機器に加え、複合機や電話といった通信機器も使えない
- 建物内の照明、空調が使えない
- 水道やエレベーターが使えず、建物内での活動に支障が出る
といった問題が発生し、BCP対策も成り立ちません。
今回ご紹介する、停電への備えによってBCP関連の全てが解決するわけではありませんが、最低限の情報機器の利用や通信ができれば、組織(会社や団体、学校等)の復旧活動がよりスムーズに進むかと思います。
停電への備えと言いますと、一昔前は自家発電設備かエンジン式の発電機(可搬型の発電機)が主流でした。自家発電設備はハードルが高く、エンジン式発電機が比較的手軽と言われていました。とはいえ、発電機の利用には、本体を購入するだけでなく、燃料(ガソリン・ガス缶・ガスボンベ等)やエンジンオイルの準備が必要で、さらに
- 燃料やオイルを含めた管理が煩雑(点検、交換、本体のメンテナンス)
- 稼働できる場所が屋外に限定される(排気ガスの問題)
といった課題も多く、導入をためらう意見もちらほら耳にします。
近年では技術が大きく進歩し、新しい選択肢(機器や設備)が登場しています。規模の大きいもの(電力の大きいもの)からご紹介しますと、次のようなものがあります。
- 蓄電設備
建物等に大容量のバッテリーを設置し、停電時はバッテリーから給電します。
ソーラー発電と組み合わせることで長期間の稼働が可能な物も登場しています。 - 自動車からの給電
主にハイブリッド車や電気自動車等から給電します。 移動できる簡易給電設備として、家電や情報機器を少量稼働させるレベルでは実用的となっています。
社用車を給電可能なハイブリッド車に入れ替えるケースも増えており、BCPの分野でも注目されています。 - ポータブル電源
ここ数年で普及が進んだもので、持ち運び可能な蓄電池といえます。
手提げカバンのようなサイズで、主にノートPCやスマートフォンの充電、ちょっとした家電の稼働が可能です。 常時スタンバイで停電時に動作するものなど、BCPでの活用に向いた製品もあります。 - モバイルバッテリー
スマートフォンのお供として個人用でも普及しています。
大型の物であれば、ノートPCの充電やスマートフォン複数台(複数回)の充電も可能です。普段は通常業務や出張等で利用し、災害時は会社で回収しBCP用として再配分するといった利用シーンが想定されます。 - ポータブル型の手回し発電やソーラーパネル
手回し発電機やポータブル型のソーラーパネルも販売されていますが、現在の技術では発電量が小さくビジネス向けには実用的ではありません。
このように、電気を確保する、というだけでも複数の手段があるため「わが社では、どうしても〇〇に電気が必要」といった利用機器やシーンに合わせて選ぶことができるようになりました。より現実的な選択としましては、1つの対策(手段)に絞らず、複数の対策を組み合わせながらコストとパフォーマンスのバランスを取っていただくことをお勧めします。