業種・業界別、事業継続計画(BCP)のススメ(その5)
~教育分野におけるBCPについて~ - SMSによる安否確認サービス

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業種・業界別、事業継続計画(BCP)のススメ(その5)
~教育分野におけるBCPについて~

今回は、教育分野における事業継続計画(BCP)について、学校や教育を所管する文部科学省(以下、文科省)などの取り組みと現状をご紹介します。

大学における事業継続計画(BCP)

大学のBCPは、地震・感染症・停電・サイバー攻撃といった緊急事態において、教育・研究活動を可能な限り継続し、停止した場合でも迅速に復旧するための計画です。大学の社会的役割の大きさから、単なる防災計画ではなく、大学運営全体を対象とした包括的な継続戦略として位置づけられています。

中でも、学生の安否確認は最重要事項です。
災害発生時に学生の安全状況を迅速に把握できなければ、授業再開判断や救援活動、オンライン授業への切り替えなどの次のステップに進むことができません。

大学BCPにおける安否確認のポイント

  • 連絡先の最新化
    (学生は頻繁に携帯電話を買い替える方が多くメール不達の原因となっています)
  • 多重連絡手段の確保(SMS、SNS、大学公式サイトなど)
  • 安否確認訓練の実施(年1回以上、回答期限のルール化など)
  • 未回答者へのフォロー体制の確立(ゼミ・学科単位での確認や個別連絡など)

これらの体制を整えることで、初動対応が迅速化し、教育・研究活動の継続性を大きく高めることができます。
「安否確認プライム」は携帯電話番号宛にSMSを送信できるため、メールよりも高い送達率・開封率を実現しています。さらに端末買い換えを起因とするアドレス変更問題もありません。メール不達問題を解決するために「安否確認プライム」を導入される大学もございます。

学校・学校給食における事業継続計画(BCP)

文科省は学校の安全や防災対策を所管していますが、学校の事業継続計画(BCP)については、現時点では積極的な推進が見られません。
ガイドラインやテンプレートの公開、BCPの策定支援といった活動はあまり行っておらず、実情としては、学校防災マニュアル作成の手引きがメインとなっているようです。

同手引きは、地震や津波を想定した学校の防災対応をまとめたもので、災害時に必要な基本行動や避難方法などが整理されています。

文部科学省:「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」の作成について
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1323513.htm

文科省としては防災マニュアルの整備が優先で、BCPを体系的に策定・支援する、という段階にはまだ至っていないのかもしれません。

下記には災害時の学校給食の継続や再開についての事例が紹介されており、「BCPに基づくマニュアル」と記載がありますが、これは自治体や学校現場の独自の取り組みによるものと思われます。

文部科学省:災害時における学校給食実施体制の構築について
https://www.mext.go.jp/content/20210331-mxt_kenshoku-000013922_1.pdf

認定こども園等における事業継続計画(BCP)

監督官庁が異なる認定こども園等(乳幼児、未就学児童の保育施設)でもBCPが求められています。認定こども園等を所管するのは内閣府の子ども家庭庁ですが、公式WebページではあまりBCPについて触れられていません。とは言え、法改正により2023年から児童福祉施設でもBCPの策定が努力義務化されており、自治体やこども園の運営者は無視することはできません。

こども家庭庁:児童福祉施設における業務継続ガイドライン
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/6666f757-7772-4156-9835-2c8bca59be64/f1af1668/20231013_policieskosodateshienchousasuishinchosar03-02_s2.pdf

また、児童館等でもBCPが必要ではないか?という動きもあり、令和6年から検討会が開始されています。

こども家庭庁:児童厚生施設及び放課後児童クラブに関する専門委員会(第1回)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_ibasho/jidoukan/Ev961Amx

保育関連の施設全般に言えることですが、子どもの安全を確保するだけでなく『子どもを預かる=エッセンシャルワーカーを支える』という社会的責任もあり、一般的なサービス業とはレベル感が異なる事から、災害後の暫定的な業務再開や部分的な業務再開を見据えた計画が必要です。

おわりに
教育分野におけるBCPは、単なる防災対策にとどまらず、「社会機能の維持」という観点からも重要です。各省庁や業界団体等が新たにBCPの取り組みをスタートさせることもございます。ご興味のある分野の公式Webページ等を定期的にチェックしていただけましたら幸いです。

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