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業種・業界別の事業継続計画(BCP)のススメ <その1>

事業継続計画(BCP)とは、企業や団体、官公庁や学校等の組織で、自然災害や感染症、事故やトラブル等が発生した際に、組織の通常業務を停止させない、または停止した場合も早期に復旧するための計画を意味します。

※業種・業界によっては、非常時の対応(例:災害時の臨時業務や復旧工事)もBCPに含める場合があります。

※省庁、業界団体等によっては、「事業継続計画」と呼ばずに「業務継続計画」等の別名称を使用している場合もあります。

今回(その1)から数回に渡って、省庁や監督官庁を区切りとして、業種・業界ごとのBCPについてご紹介したいと思います。
BCPのガイドラインやテンプレート、事例、等をご紹介しますので、災害やトラブルに備えたい、BCPについて学びたい、これからBCPを自社で策定したい、といった際のご参考になるかと思います。公的なお墨付き(公的な認証等)が設けられている場合は合わせてご紹介しますので、チャレンジしたいという企業のご担当の方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

内閣府のBCP

先ずは、BCPの入門的な意味合いも含めまして、汎用的なBCP(業種・業界を問わないBCP)の例として、内閣府のBCPをご紹介します。

内閣府の防災情報のページ(地震や水害といった大規模災害への対応や国としての防災対策等の検討や周知を行っています)の中に『事業継続』というページを設けています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/index.html
(内閣府:事業継続)

このページでは、初めて事業継続(事業継続計画、BCP)に取り組むための基礎的な内容や考え方を紹介しています。

『学ぶ・調べる』
『知る・計画する』(←ここがBCP策定のメインとなります)
『啓発・訓練する』
『発信・広報する』
『交流・連携する』
『お役立ち情報』

といったカテゴリーで情報を得ることができる構成となっています。

これからBCPを策定する企業だけでなく、策定後の活動や改善にも役立つ内容となっていますので、BCPを担当される方はまず内閣府の情報にざっと目を通されることをお勧めします。

内閣府ではBCP策定に役立つガイドラインも用意しています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline202303.pdf
(内閣府:事業継続ガイドライン 令和5年3月)
テンプレート的な構成ではありませんが、BCPで求められる内容の全体像がつかみやすいかと思います。

内閣府から公開されている事業継続の情報やガイドラインは、自社のBCPを磨き上げるには、もう1歩/2歩踏み込んだ内容が必要かな?と思いますが、BCPの入門や基礎としては参考になるかと思います。また、用語の解説や参考文献も多数紹介されていることから、社内の研修やスキルアップにも活用できます。
事業継続ガイドラインの巻末には『事業継続ガイドライン チェックリスト』があり、既にBCPも災害対策も災害復旧のマニュアルも備えています、という企業であっても『自己採点・自己点検』に役立つものとなっています。
内閣府のガイドラインはBCPだけでなくBCM(事業継続マネジメント:ISOレベル)を想定したものとなっており、事業継続の理想形を目指しているように思います。

今後、他の省庁や監督官庁、業界のBCPをご紹介しますが、内閣府のガイドラインを参考にBCPを策定し、業界固有や自社固有の手順書等を追加作成するといった方式も有効だと思います。とくにISO 22301等の外部認証を目指す場合は内閣府と同等かそれ以上とお考え下さい。

長周期地震動階級での安否確認基準は?

「安否確認プライム」の地震自動送信(自動発報)では一般的な「震度設定」だけでなく「長周期地震動階級」の設定も利用できるようになっています。
「長周期地震動階級を設定する場合、いくつに設定しておくのがよいのでしょうか?」といったご質問も受ける事がありますので、今回は「長周期地震動階級」についてお話します。

「長周期地震動」とは規模の大きな地震が発生した際に生じる周期(揺れが1往復するのにかかる時間)が長いゆっくりとした大きな揺れ(地震動)のことです。
通常は2秒程度以上のゆっくりとした揺れで、継続時間は数分~10分以上です。

高層ビルは長周期地震動の影響を受けやすく、大きく長時間揺れ続けることがあります。
また、長周期地震動は遠くまで伝わりやすい性質があり、震源から数百Km離れたところでも大きく長く揺れることがあり、震源地から離れていても高層ビルの損壊、家具の転倒、人的被害が発生する可能性があります。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震も震源から数百Km離れた場所にある高層ビルで長周期地震動の影響とみられる大きな揺れが生じました。
2024年元日に発生した能登半島地震でも首都圏などで長周期地震動の影響がありました。
このため2023年2月より、震度とともに「長周期地震動階級」も気象庁から発表されるようになりました。長周期地震動階級1以上を観測した場合に観測地点で観測した長周期地震動階級等が、地震発生から10分程度で発表されます。

気象庁の緊急地震速報(警報)の発表基準
地震波が2点以上の地震観測点で観測され、最大震度が5弱以上または長周期地震動階級3以上を予想した場合

気象庁の緊急地震速報(警報)の対象地域
「震度4以上または長周期地震動階級3以上の揺れが予想される地域名(全国を約200地域に分割した地域名)」
※予測震度には誤差が発生する可能性や、岩盤のずれの進み方により、しばらく後に震度5弱以上の揺れが発生する可能性があることから、震度4が予想される地域も含めて発表されます。

「長周期地震動階級」は高層ビルにおける被害の予測から4階級に区分されています。

長周期地震動階級

出典:長周期地震動について(気象庁)

弊社サービス「安否確認プライム」が推奨している長周期地震動階級はありませんが、長周期地震動の安否確認の基準は、気象庁が発表する緊急地震速報の「最大震度5弱以上または最大長周期地震動階級3以上」を目安とするのがよいかと思います。

安否確認を実行する震度設定は? 

安否確認システムを導入される際に「地震自動送信の震度はいくつに設定しておくのがよいでしょうか?」といったご質問を受ける事が度々あります。

弊社サービス「安否確認プライム」が特に推奨している震度はありませんが、9割以上のご利用先では「震度5強以上」もしくは「震度5弱以上」に設定されています。

建物に関しては、1981年に改正された「新耐震基準」では「震度6強~震度7」の大規模地震でも倒壊しない構造であることが義務付けられていますので、基準を満たす建物では震度5強程度の地震ではマンションやビルは壊れないことになっています。

しかし実際には建物の内部被害の想定も必要ですし、木造住宅にお住いの従業員の方もいらっしゃると思われますので(安否確認プライムでは、勤務地のほかに従業員情報として、居住住所や実家などの住所を登録していただくと、住所地による地震発生時に該当する従業員に安否確認を自動送信することができます)震度6ではなく、震度5での設定が現実的であると思います。

建物の耐震基準について

  • 旧耐震基準(1981年5月31日までの基準)

    震度5程度の地震で即座に建物が倒壊しないことが基準となって建築されています。
    大地震では倒壊する危険性があります。

  • 新耐震基準(1981年6月1日以降の基準)

    震度6強~7程度の大規模地震で倒壊しないことが基準となっています。

  • 2000年基準(2000年6月1日以降の基準)

    1995年の阪神淡路大震災では、1981年以降に建てられた住宅の約2割が全半壊したため、建築基準法が改正され、木造の耐震基準がより強化されました。

津波が心配な地域もあるかと思いますので、ハザードマップなどでご確認いただき津波への対応も考慮していただく必要があるかと思います。

ちなみに「安否確認プライム」には「地震自動送信」のほかに「津波自動送信」「気象警報自動送信」機能もオプションとして用意されています。いずれも気象庁発表の情報を受けて設定条件により自動送信することができます。

参考
「ハザードマップポータルサイト」(国土交通省) https://disaportal.gsi.go.jp/
「地震10秒診断」(防災科学技術研究所) https://nied-weblabo.bosai.go.jp/10sec-sim/

気象庁では「最大震度が5弱以上」または「最大長周期地震動階級が3以上」と予想された場合に、震度4以上または長周期地震動階級3以上が予想される地域を対象に緊急地震速報(警報)を発表します。
また、気象庁による震度階級解説では下記のようになっています。
これらを参考に震度設定していただくとよいかと思います。

「気象庁震度階級関連解説表」より抜粋

安否確認サービスの安全性を客観的に評価するには

IT化が進む近年、悪質なコンピュータウイルスやマルウェアに感染し業務が停止したケースや、顧客情報や社内の重要情報が流出したケース等、サイバー犯罪が増加しております。ニュース等で報道されていますように、犯罪者に狙われるのは大企業だけでなく、あらゆる規模の法人・業界・業種に広がっています。

個々の法人で情報セキュリティ対策が取られていますが、果たしてそれが有効なのか、客観的な評価に至っているケースはまだまだ少数派となっています。市場に出ている全ての安否確認サービスは「我社のセキュリティ体制は問題ありません」と言っていますが、所詮、自己評価を利用ユーザーに伝えても全く意味はありません。
自己評価ではなく、客観的な第三者による認証(外部の審査機関によるお墨付き)が有効なことは明らかです。

第三者認証では最も知名度があるISOを目にされたことが多いかと思います(日本では品質:ISO 9001、環境:ISO 14001等が有名です)。

ISOとは「International Organization for Standardization」の略でマネジメントルール(組織内での管理や評価のルール化)の国際規格です。外部の審査機関による審査が定期的に行われており、国際的な基準をクリアしていると証明するものです。

情報セキュリティの分野でもISOによる審査が行われており、主なものとしてISO 27001(ISMS)、27017(CLD)、27701(PIMS)等があります。
※ISMSの正式な表記はISO/IEC 27001ですが、今回は簡略化した表記としております

情報セキュリティや個人情報保護のISOについてご紹介します。

  • 27001

    27002を含め「ISMS」と呼ばれます。情報セキュリティ全般について
    社内ルールの整備や情報資産の保護・IT活用・管理体制等の全体を審査します。

  • 27017

    ISMSに追加して取得する認証で「CLD」と略されます。
    クラウドサービスの利用や提供についての安全な管理を審査します。

  • 27701

    ISMSに追加して取得する認証で「PIMS」と略されます。
    個人情報の保護や利用について世界水準での安全管理を審査します。

防災やBCPの分野でも、安否確認サービス(安否確認システム)には社員名や連絡先情報といった個人情報が登録されていることから、安全な管理のため個人情報保護や情報セキュリティが必要とされています。
※連絡先等の情報が流出した場合は、個人情報の事故として雇用者にも責任が発生します

現在、多種多様な安否確認サービスが出回っており「安心」「セキュリティ」「信頼」をアピールしていますが、自己評価によるものか第三者による客観的な評価によるものか、注意が必要です。本当の意味で安心できるのは、自己評価ではなく第三者による客観的な評価(外部審査)を受けた安否確認サービスと言えます。

個人情報保護や情報セキュリティにISOが有効であることをご紹介しましたが「安否確認プライム」はISO 27001・ISO 27017・ISO 27701の3規格全てを取得し、安全な管理運営を実施している唯一の国内サービスです。

個人情報保護や情報セキュリティが社内/社外から求められる昨今、自社内の情報保管状況だけでなく利用するサービスやシステムも安全なものをご検討、ご活用ください。

安否確認で使う「Eメール送信」と「SMS送信」の違い

Eメール送信の場合

Eメールはパケット通信で、携帯電話やインターネットのデータ通信で主に使われている通信方式です。利用効率が良く、広く利用されています。
しかし、利用回線は非占有となるので、混雑時は通信効率が極端に低下することもあり、パケットそのものを失うこともあります。

安否確認や緊急連絡をEメール送信した場合、次のようなことが起こります。

  • ほかのメールに紛れて気づかないことがある
  • 迷惑メールフィルターにひっかかり、迷惑メールフォルダーに入っていて気づかない
  • 意図せず拒否設定(ドメイン拒否設定など)をしていて届いていない
  • ガラケー(フィーチャーフォン)の人など、Eメールアドレスを持たない人に送れない
  • 契約している携帯電話会社を変えると携帯アドレスが変わってしまう、また、メールアドレスは頻繁に変更する人がいるので、不達になることがよくある
  • 無料で利用できるフリーメールを使用している場合、かなり遅れて届く場合がある
  • 相手に届いているかわからない
  • 災害時には通信量が増加するため、サーバー負荷が増大してタイムラグやエラーが発生する恐れが極めて高い

SMS(ショートメール)送信の場合

SMSは電話と同じ回線交換方式ですが、音声回線でテキストメッセージを送るのではなく、信号線およびシグナリングチャネルを利用する通信手段です。データ量が軽い信号線(シグナリングチャネル)のみでサービスが提供されていることから、一般的に電話よりも災害に強いと言われています。
(参考)SMS送信の仕組み 災害に強い回線交換

SMS送信する利点は次のようなことが挙げられます。

  • 着信音が鳴るため見てもらえる確率が高い
  • メールと比べて着信拒否での不達は少なく、迷惑メールになる割合も低い
  • 電話の信号線を使うSMSは災害に強い通信網である(東日本大震災・能登半島地震の際もSMSは問題なく繋がりました)
  • 契約プランや格安SIMに変えても、ナンバーポータビリティで携帯の電話番号を変更する人は少ない
  • 一斉送信後にSMSが端末まで届いたか否かの到達確認ができる(圏外・電源切れ等のエラー理由もわかります)

「安否確認プライム」は、SMS送信を主体とした安否確認サービスです。

SMSを活用しているため、到達率・開封率が高く専用アプリも必要ありません。携帯電話番号だけで迅速に安否確認や連絡/通知をおこなえます(Eメールも併用可能)。

能登半島地震では、他社安否確認サービスを導入しているにも関わらず、うまく対応できなかった企業もありました。それらの問題点は「安否確認メールが迷惑メールフォルダーに入っていたため確認ができなかった」「フリーメール(GmailやYahooメール)の場合、安否確認のメールが数時間遅れて届いた」といったものでした。

これらの事例より、安否確認はSMSを利用したシステムをお勧めします。
安否確認システムの導入を検討されている企業様の参考になりましたら幸いです。

安否確認も自動化の時代です

安否確認システム(安否確認サービス)をご検討中の企業・団体様からのご相談の中で次のような課題をよくお聞きします。

  • 『社員の大半が営業マンで、普段は社外や出張先にいるので災害時の連絡に不安がある』
  • 『業務の関係で勤務中はドライバーとして運転していることが多い』
  • 『客先での作業のため、社員や契約スタッフは出張が多い。他府県で数日~数週間過ごす勤務形態になっている』
  • 『BCP(事業継続計画)を策定しているが、夜間や休日等の連絡が取りづらい』

先日の能登半島での地震からは

  • 『帰省中や旅行中に災害が発生した場合の対応を検討したい』
  • 『年末年始やお盆、ゴールデンウイーク等の連休の場合、本社主導の連絡体制が機能しない』

といったご相談も受けております。

一昔前は災害発生時の初動として、社屋近くの駐車場(企業の場合)や校庭(学校の場合)に集合・整列し点呼を取る、といった流れが想定されていましたが、これは『建物内に大半の人がいる企業や団体、学校』の場合で、さらに平日の昼間に限定した条件となります。業種や業界にもよりますが、現実的ではないという事から、従来型の集合~点呼は行わないという企業・団体も増えております。

解決策としては弊社の安否確認システムの「災害時自動送信(地震自動送信/津波自動送信/気象警報自動送信)」が有効です。

弊社の安否確認システム「安否確認プライム」では、エリア(都道府県やさらに細分化した地域)、所属する部署等を絞って送信することも可能です。(細分化したグループごとに、震度や警報の情報と突き合わせ送信を自動判断します)

過去の災害からも、平日や昼間に災害が起こるとは限らない事が知られています。
就業時間外の一例としまして、次のような災害が発生しています。

  • 阪神淡路大震災 朝5時台
  • 大阪北部地震 朝7時台(通勤時間帯)
  • 熊本地震 21時台と1時台に発生(どちらも夜間)
  • 能登半島地震 年末年始休み(正月休み)

※その他、台風や豪雨による洪水等も深夜に発生したケースが多々あります。

さらに送信の自動化は、防災だけでなくBCP(事業継続計画)でも有効とされています。震度や警報等をBCPの発動基準(非常態勢へ移行する基準)として定め、指示や連絡が無くともBCPに沿った対応や避難、臨時業務等に移行することができます。(指示者の不在や連絡途絶による逃げ遅れ等も回避できます)
安否確認システムの災害に連動した自動送信と組み合わせることで、

  • 安否確認の開始(一斉送信~回答の自動集計)
  • BCP体制への移行の連絡

を一気に実行することが可能になります。

他にも自動化という点では、安否確認システムを活用することで次のような作業も効率化が図れます。

  • 未回答者への自動再送信
  • 災害の連続発生時の送信集約(重複の自動回避)
  • 日時予約による送信
  • 安否回答や報告情報の検索や集計
  • 安否不明者への対応リストの作成(リスト作成用データの出力)

上記のような自動化により、災害発生時に連絡や対応業務が集中しがちな本社や管理部門、BCP対策本部の業務負荷を下げ、経営層への報告内容も正確で詳細なものになります。

安否確認の自動化や高度化を検討する際は、ぜひ高機能型の安否確認システムを採用していただき、24時間365日カバーできる体制をお勧めします。 

防災訓練のステップアップを目指すには(その2)

今回は防災訓練を企画・運営するにあたり、押さえていただきたいポイントをご紹介します。

次のような情報をA4サイズの紙1~2枚程度にまとめ、「計画~当日の進行~記録や改善」を行うとよいでしょう。

想定(訓練シナリオと言われることもあります)

  • 災害想定(例:震度6弱の地震が本社近くで発生、大津波警報が発令)
  • 被害想定(例:停電が発生、本社旧館は損害が大きく利用不可)
    ※一例ですが、負傷者などはイレギュラー要素として本人にのみ想定を知らせ、訓練スタート後に開示(負傷を申告し対応を求める)といったヒネリも良い刺激となります。
  • 状況想定(例:時間帯、曜日、状況等を想定:繁忙期に発生、日曜夜に発生等)
    想定を決める際は、防災マニュアルやBCPの他、自治体が発行するハザードマップ等も参考になります。

事前調整

  • 訓練の目的(例:避難の手順・避難ルートの計画実行・確認、敷地内の安全確認の試行、BCPの最新書類の内容確認)
  • 訓練実施日(例:〇月〇日〇時開始、雨天の場合は◇月◇日に順延)
  • 実施対象の部署や事業所(例:本社全部署+各事業所の管理部門)
  • 参加者、オブザーバー(観察者・評価者)の設置有無
    ※人数の面でオブザーバーの設置が難しい場合もありますが、訓練の実施状況を第三者的に確認し、課題や改善につなげるスタイルをお勧めします
  • 訓練用に利用できる備品や設備(例:非常階段を開放して避難を実施、担架を使った搬送を実施、消火栓を使った放水訓練を実施)

訓練後の記録

避難訓練で時間を測るケースはよく見かけますが、それだけでは不十分です。
時間以外にも

  • 発災後対応の不備はないか(例:安否確認のタイミング、報告や指示の責任者や経路、副担当や代替担当者の未設置)
  • 集合場所や避難ルートに問題はないか(例:耐震性の低い建物付近が集合場所となっている、避難ルートに転倒防止されていない什器がある)
  • 持出品や防災用品に不足はないか、使い方等に問題はないか(例:持出品は指定されているが、持ち出し手段や担当が不明確)
  • 次回訓練に向けた変更事項(例:追加シナリオや変更点)
    といった評価、確認のポイントもあります。

さらに近年、安否確認のニーズが増えておりますが、安否確認実施後の集計~報告の流れや、安否不明者の発生時(安否確認サービスを導入している場合、回答が無い/宛先エラーとなる等)の対応手順等の確認もぜひ行ってください。

ステップアップ

訓練時に発生した課題点や問題点の改善の他、可能であれば参加者へのアンケートやヒアリングにより改善点を広く集めていただくこともお勧めしております。
筆者の場合は防災士(オブザーバー)として訓練に参加(立ち会う)事が多いので、良い点・悪い点・課題や改善点等を残すよう心がけています。

年間行事として防災訓練が組み込まれている企業や団体様も多いかと思いますが、定例行事としてこなすだけでなく、学びや改善の機会として活用していただけましたら幸いです。

防災訓練のステップアップを目指すには(その1)

自然災害(地震や津波など)への備えとして、防災訓練のニーズが高まっておりますが、防災訓練の実施にお勧めの時期となりました。
気温や環境のリスクが高い真夏と真冬を避けた、春と秋が訓練のベストシーズンです。
この時期はお勧めの時期です。
(季節性の高い災害に対処するため、あえて真夏・真冬に行う訓練もあります)

今回は防災訓練を企画するための予備知識やポイントをご紹介します。

防災訓練のパターン

訓練のパターンを大まかに分類しますと次のようになります。

  • 机上訓練

    防災マニュアルや連絡体制表等を使い、会議室や事務所内で実施される訓練です。
    書類上の手順確認や対応内容の確認が中心となるため、机上訓練と呼ばれます。
    ※新型コロナの影響もあり、自治体でも机上訓練のみで実施というケースもあります。

  • 実動訓練

    防災訓練としてリアリティもあり、実践的な訓練となります。

    防災マニュアル等を使用しつつ、実際に避難を行う(避難訓練)

    疑似的なものを含め消火活動を行う(消火訓練)

    負傷者役を用意し対応する(搬送訓練・応急処置訓練)

    物資や機材を取り扱う(物資運用訓練、物資配布訓練)

    停電状態での避難や安全確認・被害確認(停電訓練)  など

    防災マニュアルやBCP等に記載された内容を部分的または全体的に訓練として実行します。
    手順等の確認や習熟、機材等の動作確認といった様々な目的を設定しておこないます。

  • 抜き打ち訓練

    主に実動訓練のバリエーションとして、事前の連絡や通知なしに突然訓練がスタートするパターンです。 あまり日本では行われませんが、業種や業界によっては部署や事業所単位で実施されていると聞きます。 訓練というよりは、演習として評価も含めてシビアに行われるそうです。

防災訓練のレベルアップの試み

訓練そのものを真面目に取り組んでおられる企業、団体様は多いのですが、マンネリ化している、情報が古いまま、といったケースも見受けられ、訓練の有効性に疑問を感じることがあります。

訓練のレベルアップを目指し、BCP(事業継続計画)の要素を取り入れ、業務の復旧や代替拠点の立ち上げなどを取り入れますと、ビジネス面でもより強い組織となります。
次のような改善を試みてはいかがでしょうか。

  • マンネリ化している

    改善:シナリオに変化をつける、違うパターンのシナリオを用意する等

  • 災害や被害の想定が7~8年前から変化しておらず、情報が古い

    改善:計画段階でハザードマップ等を再確認する等

  • 安否確認の実行練習をしたことがない

    改善:安否確認の実行練習をする

従業員の所在や安全状態をどう確認するのかも災害時に混乱を最小限に抑え、的確なアクションをするための重要なポイントと言えます。
防災訓練に安否確認の実行練習を取り入れ、災害発生時に安否を迅速に把握できるようにしておくことも大切です。

弊社の「安否確認プライム」は、携帯電話番号宛にSMS(ショートメール)送信して従業員の安全状況を確認し、従業員と情報共有を可能にするサービスです。
災害はいついかなるときに発生するか予測がつきませんが、スマホやタブレットがあれば場所を選ばずどこからでもSMSを一斉送信でき、従業員の安否状況を管理画面で把握することができます。

地震/津波/特別警報時に安否確認を自動送信させることも可能です。
SMSを受信した従業員は、SMS本文に記載のURLを開き、安否などを回答します。
回答結果は自動集計されるので、管理画面で安否状況を簡単に把握できます。
災害時に迅速に安否状況を把握できるように、テスト送信で模擬訓練(シミュレーション)されることをお勧めします。

年間行事として防災訓練が組み込まれている企業や団体様も多いかと思いますが、定例行事としてこなすだけでなく、学びや改善の機会として活用していただけましたら幸いです。

介護業界におけるBCP義務項目への対応ポイント

令和3年度介護報酬改定により、BCP(事業継続計画・業務継続計画)の策定や運用が義務化されました(令和6年3月までの義務化前の経過期間が終了しました)。
前回は「介護業界特有の課題」「BCP義務項目」について記載しました。
今回は、「義務づけられている項目についての対応等のポイント」をまとめてみました。

BCP義務項目への対応ポイント

感染症対策等の強化

  • 感染症対策、自然災害対策の両方が義務づけられている(義務ですが、一般的なBCPより範囲が狭まっています)
    感染症対策については、昨今の新型コロナウィルスが拡大した時期に実施していた対策を再度実施できるよう、準備を継続することが基本となります。
    ※季節性インフルエンザやその他の感染症への対策は、普段から何らかの備えを行っているかと思います。部分的な発生ではなく社会や地域レベルでの発生に備えて、規模や体制の拡充をお勧めします。

業務継続に向けた取り組みの強化

  • 計画(ルールや手順)の整備が義務づけられている(BCPでの規程や計画書、マニュアル等)
    単純に書類(規程やマニュアル、記録書類)を作って終わりではありません。
    平常時の備えとして、書類の整備のほか、責任者や対応担当者の割り当て、連絡体制の整備(安否確認)、防災用品等の備蓄等が必要となります。
    災害や感染症の発生時は、ルールに基づいた対応として、スタッフの安否確認、利用者・入所者の安否確認、施設の被害状況の確認、業務の継続・復旧、被害への応急処置や修理の手配、ご家族を含めた関係各所への連絡等々が必要となります。BCPのゴールは(施設等が定める)一定のレベルまで業務が復旧することですので、実際の災害や感染症の発生時は数日~数か月の活動となる場合もあります。
  • スタッフ向けの研修や教育が義務づけられている
    災害や感染症の発生時に実動が求められるので、各事業所のBCPに基づいた研修や教育が望ましいと考えられます。
  • 訓練(シミュレーションを含む)の実施が義務づけられている
    こちらも2と同様に各事業所のBCPに基づいた訓練(実際の活動を伴うもの)やシミュレーション(一般的には机上訓練)が望ましいと考えられます。
    BCPの観点から、一般的な防火訓練や避難訓練だけでは不十分で、事業の継続や復旧に関わる訓練(施設の安全確認、安否確認、防災用品の利用、インフラの停止状態での業務実施等)が必要と考えられます。

23は、回数は明確に定められていませんが、最低でもそれぞれ年1回は実施する事が求められるレベルとご理解ください。

※診療報酬の年次改定に伴う義務化であることや、年度ごとの管理が監督官庁的に行われている点を鑑みました。

BCPでは、書類やデータを作って終わりではなく、運用が継続して行われることが求められています。運用には上記の研修や訓練が含まれる他、作成済み書類の見直し(対応ルール、担当メンバーや安否確認での連絡先、防災用品の台帳等の内容のメンテナンス)や改善をおこなう事で、より有効なBCPにステップアップできます。

介護業界では平常時からスタッフの不足が問題となっている事もあり、災害や感染症の発生時は『スタッフの安否確認』や『スタッフのシフトやローテーションの調整』が対応のカギとなったというケースもあると聞きます。BCPの対策として、災害や感染症に目を向けるだけでなく、スタッフの確保や調整も組み込んでいただくのが望ましいと思われます。

エクスリンクの「安否確認プライム」は、災害時に対象者の安否確認をスムーズかつ確実に行えるツールで、介護施設への導入実績も多数あります。ガラケーにも対応できるSMS(ショートメール)送信で簡単に安否確認ができるので、ITに不慣れな方がいても安心です。安否確認システムの導入を検討されている施設様はご検討いただけると幸いです。

介護業界におけるBCP義務化について

近年の自然災害や感染症拡大等の社会情勢から、令和3年度介護報酬改定により、BCP(事業継続計画・業務継続計画)の策定や運用が義務化されました(令和6年3月までの3年間は義務化前の経過期間とされていましたが、終了しました)。

BCP(事業継続計画・業務継続計画)は、災害の多い日本では業種業界を問わず監督官庁等から策定が求められており、介護業界では厚生労働省や全国の自治体から働きかけが行われております。しかし一般的な企業や団体向けのBCPとは異なる点もあり、苦戦しているという声も耳にします。

介護業界特有の課題

介護業界では次のような課題があり、一般的なBCPよりもハードルが高いとも言われます。

  • 避難等の移動が困難な利用者、入所者が多い
  • 自力で災害や感染症への備えをおこなえる利用者、入所者が限られる(ゼロの場合もある)
  • (主に高齢者施設では)施設内で生活する入所者へのサービスは停止できない(事業停止の回避が必須)
  • サービスの停止や低下が、利用者/入所者の健康や生命に関わることがある(施設による保護や安全確保が求められる)

BCP義務項目

厚生労働省から求められている「感染症や災害への対応力強化」(いわゆるBCP義務化)では、概略として次のような事が求められています。

  • 感染症対策の強化【対象:全サービス事業者】
    委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等が義務づけられています。
  • 業務継続に向けた取り組みの強化【対象:全サービス事業者】
    災害や感染症が発生した場合の業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等が義務づけられています。
  • 地域と連携した災害対応の強化【対象:通所系サービス、短期入所系サービス、特定、施設系サービス事業者】
    災害への対応や備えの面で、訓練において地域住民との連携に努めなければならないとされています(努力目標と解釈できます)。

BCPでは、書類やデータを作って終わりではなく、運用が継続して行われることが求められています。運用には上記の研修や訓練が含まれる他、作成済み書類の見直し(対応ルール、担当メンバーや安否確認での連絡先、防災用品の台帳等の内容のメンテナンス)や改善をおこなう事で、より有効なBCPにステップアップできます。
実際に災害や感染症が発生した場合は、実動からの学びや課題等も改善へのきっかけとなりますので、対応の記録もお忘れなく。

介護業界では平常時からスタッフの不足が問題となっている事もあり、災害や感染症の発生時は『スタッフの安否確認』や『スタッフのシフトやローテーションの調整』が対応のカギとなったというケースもあると聞きます。
BCPの対策として、災害や感染症に目を向けるだけでなく、スタッフの確保や調整も組み込んでいただくのが望ましいと思われます。

エクスリンクの「安否確認プライム」は、災害時に対象者の安否確認をスムーズかつ確実に行えるツールで、介護施設への導入実績も多数あります。ガラケーにも対応できるSMS(ショートメール)送信で簡単に安否確認ができるので、ITに不慣れな方がいても安心です。安否確認システムの導入を検討されている施設様はご検討いただけると幸いです。

厚生労働省の参考資料

BCP以外にも改定事項がございますので、関係する業界の方はぜひご覧ください。

【参考】令和3年度介護報酬改定について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00034.html

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